2017年12月2日土曜日

突きつけられた現実


ある日突然、「足が変」になってしまったレックス母は、その3日後には全く歩けなくなってしまった。その時の私の反応は・・・・・

 

「もう~、何をどうしていいのか分かんな~い!!」

 

今なら多少の知識はあるが、当時、私の介護認識・知識はほとんどゾウリ虫レベル転んで、とか持病が悪化して、というのならまだしも、それまでほとんど何もなかったのだ。一体何科の医院に連れて行ったらいいものかも分からない。

 

それでも仕事には行かねばならない。母を一人家に残していくのは非常に不安だったが、ともかく食べ物とポータブル・トイレ(祖母が使用したものが家にあったので)を母の傍らに残し、出社したのだった。

 

で、その夜は飛んで家に帰った・・・・・かと言えば、答えはノーだった。どうにも家に帰って、その現状を目の当たりにするのが怖かった。

残業が終わって家路をたどりながら、私はわざとノロノロと時間を稼いでいたのである。

 

思うに、現実と向き合うことから逃げていたのだろう。現実と向き合う覚悟ができていなかったのだ。逃げていれば、そのうち現実の方が変わってくれる、とでも考えていたのだろうか。

 

やっと家にたどり着き、玄関を開け、家に入るなり私の目に飛び込んできたのは、畳みの上に四つん這いになった母の姿だった。あわてて駆け寄ると、母は私の顔を見るなり、

「レックスちゃん?! 良かった、帰って来て」

と言った。少しろれつが回らず、何かうつろな様子で私を見上げている。しかし、

「どうしてもっと早く帰って来てくれないの!?」

と言った私を責めるような様子はみじんも見えなかった。

 

胸をグサリと突かれた。自分の家の状況を見ることへの恐怖から時間稼ぎをしたことを、死ぬほど後悔した。

 

何とか母を布団まで連れて行ったが、これからどうやってこの状況を打開したら良いのか、見当もつかなったのである。

 

私の頭の中を真っ白いものがひたすらグルグルと回っていた。

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