2019年11月19日火曜日

イタズラ電話の怖さも今と昔じゃ、微妙に違う




レックスが学生で、レックス姉が若いOLだった頃、レックス家には実に頻繁にイタズラ電話がかかって来ていた。当時はまだ携帯などという文明の利器はなく、電話も一家に一台というのが、少なくともレックス家並みの庶民では一般的だった。 

なので、家の電話が「リーン、リーン」と鳴ったら、家族の誰かが出て、 
「もしもし、レックス家でございますが・・・・」 
 とやる。と、相手が、 
「あ、すみません、〇〇ですけど、レックス姉さんお願いします」 
 と呼び出しを頼む、というのが通常のスタイルだったのだ。 

で、そのイタズラ電話だが、電話が鳴るので、 
「もしもし・・・・・」 
 と出ると、 
・・・・・・・・ 
 と無言だったり、 
「・・・・・・ガチャ!!」 
 と無言の後にいきなり電話が切られてしまう、というのが主なものだった。 

その手の電話が、多い時には毎日のようにかかってくる。 
「ったく、いったいどこの暇人がかけてやがるんだよ!?」 
 と怒りつつ、
「ああ、モテる女はつらいな・・・・(大嘘)」
 などとウソぶいていたものだ。 


それが、レックス姉が嫁に行き、レックスが年を取って「若い女性」という範疇から著しく外れるようになったら、いつの間にやらそんなイタズラ電話がかかってくることはなくなった。 


今にして思えばだが、あのイタズラ電話の数々、ひょっとしたら知っているヤツがかけてきていたのか!? とちょっと勘繰っている。だって、見ず知らずのヤツがやみくもにかけていたのだったら、年齢に関係なくかかってくるはずだけど、年食ったらピタッと止んでしまったものね。 

ま、分かんないけどね。 

いずれにしろ、イタズラ電話って何だか物陰から誰かに見られているような気分で、すんごく気持ち悪くて、背筋が薄ら寒かった。

そうこうするうちに、世の中はいつの間にやら携帯電話時代に突入。アナログ人間レックスも今では家電よりも携帯のメール連絡の方がずっと多い。そもそも家電そのものをさほど使わなくなってしまった。 

携帯にも1、2度イタズラ電話がかかってきたけど、もうその時にはレックスはおばさんの入り口に差し掛かっていたので、それ以上かかってくることもなく。



イタズラ電話というものがこの世に存在することすら、いつの間にやら意識の中から消えていた。


ところが・・・・・・ 


このところ、イタズラ電話が何回かかかってきているのである。いずれも、電話が鳴るのでとると、少しの間、無言の間があってから切れてしまう。1回ぐらいだったら特に気にも留めないのだが、それが3回、立て続けにあった。 

時間は日によって、昼間だったり夜だったりと一定していない。 

やっぱり、いくつになっても無言電話って何か気持ち悪い。若い頃とはまた別の気味悪さ、怖さがある。 

例えば、若い頃だったら、夜、一人の帰り道、後ろから男の人がひたひたとついてきたら、 
「もしかして、痴漢!?」 
 と怖くなるけれど、今だと、 
「もしかして、ひったくり!? やっぱ若い人より中高年の方が非力だから狙われる!?」 
 と怖くなる、みたいな。 

イタズラ電話にもその種の、「若い頃とはちょっと毛色の異なった怖さ」を覚えるのだ。


怖さの種類(?)は違っても、いくつになってもやっぱりイタズラ電話はイヤなものだ。もうかかってこないといいんだけど・・・・・




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