2019年5月19日日曜日

レックス、(無い知恵をちょこっと絞って)医療について考える


 
 
 
この間に引き続いて、医療のお話をば。

 

レックス母はアルツハイマーだった。この病気の治療薬は無い。あるにはあるが、治せる薬は今のところ存在しない。症状を遅らせるためのもの、である。が、その「症状を遅らせる」のも、実のところ、「効いてんだか効いてないんだか」イマイチよく分からない、というのが正直なところだ。ぶっちゃけ、

運が良ければ、効くかもね

 みたいなもんである。何しろ、アルツハイマーは個人差が非常に大きい病気なので、あの人に効いたからと言ってこの人に効くとは限らない。中々一筋縄ではいかないヤツなのである。

 

このアルツハイマーの薬だが、現段階で主に4種類ある。アリセプト、メマリー、あのレックス母が処方されていたイクセロンパッチ(飲み薬ではなく、パッチである)、それとレミニール。この中から医師が、

「まあ、こんなもんとちゃいまっか」

 と選んであれこれ処方する(ただし、アリセプトとイクセロンパッチを同時に処方する、ということはない。どれか一つ)、というのが一般的だ。

 

しかしながら、この脳神経に作用する薬というものは、中々副作用も強かったりする。精神病薬なんかもそうだよね。副作用強いでしょ。ウチの母も最初、アリセプトを処方されていたが、下痢がひどいのでイクセロンパッチに替えた。それでも時々お腹の調子を壊すので、レックスはこっそり量を減らしていたのさ。

 

で、ここからが本題ですよ。レックス的には、

「この薬飲むことで、どれほど病状に影響があるのだろう?」

 と非常に疑問だったわけですよ。年をとればとるほど、ある一つの症状をどうにかするより、身体全体のバランスというのか、調子を整える方がよろしいのじゃないか、と思えてね。特に、レックス母には困った周辺症状は皆無と言ってもいいくらい無かった。少しぐらい脳に薬で刺激を与えるよりも、身体が快調で心穏やかに過ごす方がいいのじゃないのかな、と。

 

が、果たして薬を飲んだ方がいいのかそれとも飲まない方がいいのか、それは同じ人間で比べるわけにはいかない。つまり、どちらがいいのかは永遠に藪の中なのである。もしどうしても比べたければ、一卵性双生児で全く同じ症状、程度の二人を全く同じ生活環境に置き、同じものを食べ、同じ日常生活を送らせ、片方は服薬し、片方は服薬しない、という実験を行わなければならない。しかも、少なくとも100ぐらいは必要だ。こんなの絶対に不可能だろう。

 

これと似たような話に癌がある。癌にかかると、もれなく標準治療がついてくる。つまり、「手術」「放射線治療」「抗がん剤」だ。ま、これ全部はやらない人もいるけれど、だいたいこれらを組み合わせて治療するのが「お決まり」だろう。で、ほら、ネットなんかでよく見るでしょ? やれ、「癌は切ったらダメだ!」「自然治癒力を高めて癌を治す!」等々。

これもさっきのアルツハイマーの話と同じで、果たしてどっちが正解なのか、それは永久に藪の中、だろう。だって、やはり同じ人間で比べるわけにいかないからね、手術した方がいいのかしないの方がいいのか。どうしても比べたければ、一卵性双生児で・・・以下省略・・・だ。

 

正直レックスもどちらが正解なのか、分からない。ただ、「この病気にはこの薬、あの病気にはこの手術」と何も考えずにあたかもベルトコンベヤーに乗った流れ作業品のように機械的に決めつけるのは、いかがなものか、と思っている。人間は一人一人違うからね。

それとね、やはり日本は薬の処方量が多すぎる。これは絶対に減らすべきだと思う。

 

ただ、医者の気持ちも分からないではない。むろん、一つには、

「薬を処方しないと儲からないだろ、見守るだけじゃ、金にならん」

 というのもあるだろう。が、何より医者として「何もしない」というのは、すごくストレスがたまるし、勇気のいることではないだろうか。

 

例えば、癌。もし、手術をして結果的にその後患者さんが亡くなられたとしても、

「私は精一杯やったんだ!」

 と言えるでしょ。でも、見守っているうちにその人が亡くなってしまったら、これは医者として非常にキツイことだし、家族からも、

「あの医者は何もしてくれなかった!」

 と責められる可能性が大だからね。一応、標準治療と言うものをやっておけば安心感と達成感が得られるわけだ。

 

まあ、私にしたところで、自分がもし何か病気になった時、どのような治療法を選ぶのか、というのは非常に難しい問題だ。やはり、

「皆が受けているんだから」

 というところで決めるのかもしれないし、もしかしたら「心霊治療」なんかにすがっちゃったりするのかもしれない(まあ、無いと思うけど。金が無いから・・・ああいうのってたいていバカ高い)。

 

いずれにしろ、自分の身体は自分が一番よく知っているわけだから、例え相手が医師という専門家だとしても、任せきりにしないで、自分で選択していきたいものだとは思っている。




 

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