2018年3月25日日曜日

なってみないと、分からない


私が介護しているのは、母である。介護と言っても今は施設に入所しているので、大したことはしていないが。

 

ちなみに母は認知症、アルツハイマーだ。もっとも、今では認知症の高齢者なんて、少しも珍しいことではないが。母の場合、脚も骨折による手術を経験している。施設の中だったら、何とか歩行器を使って歩くことが出来なくもないが、最近はほとんど車いすに座りっぱなしだ。

 

私は、人間には2種類の人が居ると思っている。介護を経験している、あるいはしたことがある人と、無い人と。私の独断と偏見で言わせてもらえば、この両者の間には、暗くて深い河がある、って何かの歌の文句みたいだね、これは。さらに独断で言わせてもらえば、やはり本当の介護の大変さとは、同居介護の中にある、と思っている。もちろん、通い介護を責めているわけではないし、ラクだと決めつけているわけでもない。ただ、同居と通いでは、一見同じようなことをしているように見えても、やはり色や重さが異なってくる、と言いたいわけで。やはり、帰ることができる自分のスペースがある、というのは同居介護者から見ると正直うらやましい話なのだ。

 

介護している人の年齢は様々であるが、一番多いのは私と同じ50代ぐらいではないだろうか。この年代というのは、介護のあるとないとではすごく差が出る年代だ。結婚していれば子供も巣立ち、身軽になる。私のようにシングルなら、それなりに給料も増え、生活に余裕ができる。つまり、どちらにしろゆとりができる年代なのだ。今度は自分達の番、趣味に旅行に、ボランティアに♪と浮かれる人がいる一方で、介護に忙殺される人もいる。

 

私もね、いろんな友達に介護について語ったけれど、やはり「心底理解してもらえたな」という人は居なかった。なってみないと分からない、やってみないと分からない、それが介護。

 

介護って何が大変かと言うと、介護そのものの大変さもさることながら、孤独感にさいなまれる点ではないだろうか。介護って、本当に孤独だ。物理的に外出も大幅に制限されるし、先に言ったように精神的にも孤独になる。中には、他に家族がいるのにもかかわらず、一人だけ介護を押し付けられ、家族の中ですら孤独になっている人も居るくらいだ。いや、私のように最初から一人よりも、こちらの方が孤独感は強いだろう。孤独とは一人だから感じると言うより、大勢の中でこそ感じるものだから。

 

もし、これを見ている若葉マークの介護者の方がいるとしたら、これだけは言いたい。人に理解してもらおうとするのは、やめよう。あなたを完全に理解できる人など、いない。例えば介護者だけが集まる会に出ても、そこで愚痴を話したら、他の介護者に、
「そんなのまだましよ、私の方が大変!」
 と言われてしまい、結局本音は話せなかった、ということすらあるのだ。人に期待する前に、まずは自分を大切にしよう。自分を理解しよう。自分は何が不満なのか、自分の希望は何か、自分は本当は何を望んでいるのか、自分を理解してあげよう。自分を抱きしめてあげようよ

 

なんて、エラそうなこと言えるほど、私も介護を分かっているわけじゃないけどね! 今も手探りでやっている。きっと、最後まで答えは出ないだろうなぁ。

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