久々に旅行に行ってきました~! 日本人の心のふるさと熱海。ええ、一人旅です。
実は、このレックスの最大にして唯一のと言える趣味が「旅行」、しかも一人旅だった(もちろん、友人や家族ともさんざん行ったが)。だった、と過去形なのは母の介護で旅行はおろか、外出すらままならない状態が何年も続いたためだ。
以前にも言ったと思うが、「心」も「身体」と同じで、使用しない部分はどんどん萎縮していく。長い間運動をしていないと、筋肉が衰えてしまい、思うように身体が動かなくなる。そしてますます動かすのがイヤになってしまう。
心も同じで、長い間「あれもできない」「ここにも行けない」という生活を続けていると、気持ちが萎えてしまうと言うのだろうか、「旅行へ行きたい」「習い事をしたい」「○○をしたい」という思いが湧き上がらなくなってしまうのだ。
それに加えて、今は現実的な問題がある。言わずと知れた、お金である。思えばはるかその昔、夏休みだ、正月休みだ、やれゴールデンウィークだと、その度にいそいそとお出かけしていたものだ。母も認知症ではなかったし、安月給とは言え一応正社員の独身貴族(?)、何の迷いも心配も、不安も当時は無縁だった。
フットワークだけは軽かったので、国内はもちろん海外でもさしたる気負いもなく飛び出していたっけなぁ。出発のわずか数日前にスコットランド旅行を決めたこともあった。
「まあ、行けば何とかなるだろう」
なんてね。そう、こうした行動力だけはあったのさ、自慢にはならんが。
それが・・・・・。今では全く真逆の生活を送っている。母を在宅介護していた時も、
「遠くに行くのは無理だけど、近場に1泊旅行ぐらい、たまにはいいだろう」
と思っても、どうしてもそれができない。言葉でうまく説明できないが、「腰が上がらない」のだ。介護で自分を縛っている間に、その縄がほどけても身体が動けなくなってしまった。
とは言え、別に介護を後悔しているわけでも、恨んでいるわけでもない。旅行を楽しむのも人生、介護をするのも人生だ。それぞれに「良さ」はある。
それはさておき。
今回、その重い腰をやっとこさあげて、行って来ました、熱海に1泊。
「やっぱりさ、日本人に生まれたからには、一生に一度は熱海に行かなくちゃね!」
という何の根拠もない我がポリシーから、念願の熱海旅行を果たしましたとさ。
ところで、レックス、熱海は初めてではない。ずいぶん昔に2度、訪れている。ただし、いずれも日帰りで、ろくに観光はしていないし、温泉にも入っていない。これでは真の熱海を堪能したとは言い難い。ここはやはり温泉に入ってゆっくりした後、上げ膳据え膳で御馳走たんまり、という旅をしたいではないか。
いや~、しかし熱海はいいねぇ~。近い、新幹線も飛行機も使わずとも行けるし、ホテルさえ押さえれば、後は野となれ山となれ(わが町からはね)。日本語も通じるし、日本円も使える(って、当たり前か)。熱海の最大にして唯一の欠点は、ホテル代の高さだ。素泊まりで安く抑えるという手もあったのだが、今回は少しゴージャス気分を味わいたかったので、2食付の所にした。温泉でゆっくりした後、外に出たくなかったしね。しかし、食事のコースを思わず安い方にしたのは、このケチな性格のなせるわざだろう。
熱海にははるばる各駅停車で向かった。さんざん電車に揺られた頃、窓から海が見えた時には、胸がわくわくした。
「海を見たのは、何年振りだろう・・・・・・」
もう、思い出せないくらい、昔だ。自分の街から普通電車で熱海まで行けるなんて、以前に行った時には考えられないことだ(あの時はたしか、新幹線を使ったはず。まだ金があった頃だったのでね)。のどかな各駅停車の旅も良いなぁ~、と半分本気、半分負け惜しみで思う私。
そして、終点熱海。
「どひゃ~!!?」
久々の熱海駅は、すっかりきれいで近代的になっていた。立派な駅ビルが建ってしまっている。以前に来た時には、
「熱海って、代表的な観光地の割には、駅はレトロでこじんまりしているなぁ」
という印象だった。それはそれで味わいがあったが、これも時代の流れか。
今回の旅行で私が「行く!」と決めていた場所は2つ、1つは「来宮神社」、後1つは「MOA美術館」だ。「来宮神社」は熱海駅から1つ先の来宮駅が一番近い。熱海駅から歩いても行けるのだが、方向音痴にかけては他の追随を許さないこのレックス、初っ端から熱海の街を彷徨うのも、ちょっと・・・・・・である。私は熱海駅で一度降りて、軽い食事を済ませてから電車で行くことにした。
「どひゃ~!!?」
はりきって駅前の商店街に繰り出したのだが、さすが熱海、土曜日でも祝日の前日でもないのに、どこも人であふれている。目ぼしい飲食店には順番待ちの列ができている有様。
「これじゃ、何分も待たされそうだな」
それではと駅の時刻表を見ると、来宮駅方面行電車が15分後に出るではないか。その次の電車は、
「30分以上待ちか・・・・・・」
ここで山手線並みの運行状況を期待するのが間違っている。私はキオスクでパンを買って、電車の中で食べることにした。
「来宮はすぐ次だ。早く食わないと、駅に着いちゃう」
電車の中で調理パンを貪り食うレックス。ゴージャスな旅を志したわりには、何ともお粗末な昼食風景である。これも日頃の行いのためか。
「来宮神社」は熱海随一のパワー・スポットとかで、特に有名なのが樹齢2,000年以上と言われる大楠だ。何でも、これを一周しながら願をかけるとかなうとか、寿命が1年延びるとか、いろいろと霊験あらたかなお話がささやかれている、ありがた~い樹なのである。むろん、このレックスもそこは抜かりなくしっかりとお願いをしておいた。鈍感なレックスはそのありがた~いパワーを肌で感じるようなことはなかったし、参拝客がやたら多かったりしたが、緑が多く、確かに心がスーッとする良い場所だった。
神社の中には抹茶とお菓子を楽しめる休憩所もあって、緑の中でゆるりとお抹茶を味わえる。本当はそこでまったりしていこうか迷ったのだが、時間の限られている旅だし、とここでも貧乏根性がじゃまをして、先を急ぐことにした。後ですげー後悔したんだけどね。
ともかく、熱海に行ったらこの「来宮神社」はぜひ訪れたい、お勧めのスポットだ。他に「伊豆山神社」もあって、ここも静かな良い場所です。実は、前回の日帰り旅行はこの「伊豆山神社」参拝旅行だったのさ。今回はパスしたけれど、ここもお勧めです。
帰りは電車を使わず、景色を楽しみながらゆっくりと歩いて熱海駅まで戻った。