2018年3月9日金曜日

シックな装いでお願いします、の一言にびびった私です・・・・・・・


ボロボロの就活生活を続けてきたレックスだったが、1つだけ、こちらの方から断った会社が、ある。

 

その会社は、以前よりたびたびお仕事探しサイトで目にしていた。職種は事務、時間は10時から16時、週4日以上勤務で、50代もOK、時給は相場より安いが会社の場所は最寄駅から歩いて3分という、主婦や私のようなプチリタイア希望のおばさん労働者には願ってもない環境だった。にもかかわらず、ちょくちょく募集がかかるとはどうしたわけだ。それが気になって、応募を躊躇していたのである。

 

しかし、こう次から次へと落っことされてはそうも言っていられない。背に腹は代えられない、というヤツだ。私はサイトからさっそくポチしてみた。

 

「プルルルル・・・・・・・」

 来た、待っていた面接のお誘い電話だ。

「こちら○○株式会社です。今回は応募していただき、ありがとうございます・・・・」

 ばんざーい! やっぱり面接のお知らせだ。ここまで来るのにも50代後半は苦労するんだよね。履歴書送ったり、サイトからポチしたりした会社のうち、面接までこぎつけるのは、だいたい10社に1あるかなし、だ。で、その1社も今の所全てフラれているわけだが

 

面接日、面接時間、用意するものなど、型通りのやり取りが進み、最後の方に担当の方が気になる一言をつぶやいた。

「当日はふさわしい服装でお越しください・・・・・」

「はあ・・・・・(へっ!?)」

 思えば、大学を卒業してから早30ウン年、数限りなく面接を受けて来たけれど、面接時の服装を指定されたのは、初めてである。ってゆーか、どのような服装で来るのかも面接のうち、ではないだろうか。そもそも面接時においては未だその会社の社員ではないわけで、服装の指定までされる覚えはない、というのが私の持論なのだが。

 

もちろん私だって伊達に年はとっていない。当然、面接にはそれらしい服装で臨むつもりでいた。そんなわけで、心に一抹のわだかまりを残しつつも、当日はカットソーにサマースーツという、無難なスタイルで赴いたのだった。

 

会社の場所はすぐに分かった。思った以上に立派なビルだ。駅から歩いてすぐだし、近くには地元の老舗デパートがある。改めて、

「何でこの会社がこうちょくちょく人を募集するのだろう」

 と頭の中にクエスチョンマークが飛び交う。

 

案内されたオフィスの中もキレイだった。

「何だか、ここで弁当食べるわけにはいかなそうだな、こりゃ」

貧乏覚悟のプチリタイア志望としては、これはマイナス・ポイントである。昼飯によけいな金など、かけたくない。が、ここは気を取り直して、

「面接、面接」

である。面接には、30代ぐらいの男性社員が現れた。

「わーい、久々に若いお兄さんとお話しできるぞ!?」

 と喜んでもいられない。私の経験と持論から言えば、同じぐらいの年の女性面接官の方が、おばさんには優しい。とは言え、同じぐらいの年の男性面接官は、若い男性以上におばさんには厳しい傾向がある。私的には、おばさん面接官>若い男性面接官>若い女性面接官>おじさん面接官 の順番で、おばさんに優しい指数が上がる、ような気がする(気のせいかもしれないけどね)。

 

職歴や志望動機など、型通りに面接は進み、いよいよ終わりに近づいたな、と思った頃、お兄さん面接官がここで思わぬ一言を繰り出した。

「もしここで働いていただくことになったら、服装はシックな装いでお願いします。今の服装でしたら、いいでしょう」

「はあ・・・・・(えええええ~!!?」
 この時給でシックな装いって、それは、

「自給自足でお願いします」

 と言われているようなもんですよ、私にとっては(ここの時給、全て洋服代で消えてしまいますぜ、お兄さん)。それに、今日は面接だからそれなりの服装をしているが、こんな格好でずっと働くのは、私だって願い下げだ。服装なんかに気を回すことなく、余分な金はかけずに働きたい、というのが正直なところだ。

 

何だかもやもやしたものを残しつつ、帰途についた私は、帰宅してから考えた。

「どうしよう・・・・・・」

 もちろん、採用された場合の返答である。私としては、どうしても「面接にふさわしい服装」と「シックな装い」が引っかかっていた。入社する前から服装を指図する、というのは、いかがなものか。こういう会社は入ったら、その後よけいにいろいろとあるのではないか(何があるのかは分からないけど)。

それに、「どうやら弁当持参は難しそうだ」「服装に金がかかりそうだ」というのもどうにもいただけない。若い頃は、おしゃれして都心まで通うのもそれなりに楽しかったが、プチリタイア志望のおばさんとなった今となっては、通勤着や昼飯に一切金はかけたくない

 

が、やはり決め手となったのは、次の事実だった。

「あまりに募集が頻繁にある・・・・・・」

 そこが働きやすくて居心地の良い職場であったら、そうそう人は辞めないのではないだろうか。ましてや、勤務時間帯から言っても場所から言っても、40代、50代のパート勤め希望の女性にとっては、理想的な条件と言える。なのに・・・・・。やはり、募集がたびたびあるというのは、そこに何かがある、ということではないだろうか。

 

結局、この会社はお断りすることに決めたのだった。こういう時に限って、採用の電話が来るんだよな~、これが。

しかし、私のような分際で断っていいものだろうか、分不相応ではないだろうか、とずいぶん悩んだものである。

 

未だにこの決断が正しかったのかどうか、それは私には分からない。特に、今の会社というか仕事も、限りなく「それなり」な現状を考えると、とりあえず入ってみてから決めた方が良かったのでは、という気もなくはない。会社というものは入って見なければ分からないものだし、問題があったらのならその時にさっさと辞めれば良かったのかもしれない。

 

「シックな装い」にびびってしまった私は、やっぱり小心者だよなぁ、と改めて思うレックスだった。

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