「50代後半とは言え、20年以上のキャリアがあるのだから、どこか拾ってくれるだろう」
とのんきにかまえていたレックスだったが、サイトでポチしても無視されるは、履歴書はどんどんお祈りして返されるは、やっと面接にこぎつけても片っ端から落とされるはで、ようやく一つの真理を理解したのだった。
「いくら経験があっても、よっぽどのスキルや人脈の持ち主でもない限り、たとえパートとは言え、60間近の女に事務での採用は難しい」
そうだよな~、求人広告見ても、「人気の一般事務!」とか書いてあるものなぁ。私は、
「え!? いつから一般事務って人気職になったの!?」
と目をぱちくりしていたのだが、すでにこの時点で時代に取り残されていたのね。
となると次にやるべきことはただ一つ、
「事務がだめなら、どんな職種をねらえばいいのか」
である。元々私は事務という仕事にこだわりがあるわけではない。ただ、これまで20年以上それしかやってこなかったので、
「この年だし、まるで初めての仕事よりもいいよね。採用される確率も高いよね」
と思っていただけのことである。
しかし、いざ他の仕事を探すとなると、これが中々に難しい。私の年齢から言えば、最も採用される確率が高いのが、「掃除」とか「飲食店の厨房関係」だろう。が、自慢ではないが、私は大の掃除嫌い。自分の住んでいる家だって、まともに掃除するのは1週間に1回(大きい声じゃ言えないけど>小さい声でも言えないよ)。
では、厨房の手伝いは? これにも実は大きな問題があった。実は私は料理が苦手である。一応、出来合いの総菜とか外食があまり好きではないので、自分の食事は3度3度手作りしている。しかし、どうせ食べるのは私一人、その内容は非常になんというか、つまりアバウトである。例えば、煮物のにんじんや里芋の切り方一つとっても、○○切りなんて一切無視。大きさもまちまち。
「腹に入れば、皆同じ」
が、私のポリシーである。
自分が食べるぶんにはそれで十分だが、仕事となると話は別だ。
「あのおばさん、いい年こいて全然つかえねぇ」
などと陰で言われるのは、いくら厚顔無恥な私でもさすがに辛い。私にだって、プライドのかけらぐらいはある。
そんなこんなで私が導き出した答えが、
「マンションの管理人なんか、どうだろう」
マンションの管理人と言えば、高齢者の再就職の王道である。そんなおりにふと目についた求人が、「マンションコンシェルジュ」だった。
「なんか、良さそう、管理人さんより仕事簡単そうだし。(マンションコンシェルジュって)よく分かんないけど」
我ながらいいアイデアだと自画自賛していたのだが、世間の風は甘くはなかった・・・・・・。
0 件のコメント:
コメントを投稿