2019年6月9日日曜日

人間関係の断舎利



 
 
 
世は断舎利ブームだが、私はモノを捨てるのが苦手である。これは、亡くなったレックス母の気質を受け継いでいる。ウチの母に限らず、昔の人って何でも取って置く。

「だって、いつか使うかもしれないし!!」

 と考えるようである。ご多分に漏れず、ウチの母もいただきものの包み紙から、高級プリンに付いてくるスプーンから(洗って取って置くのよ、これが)、何から何まで溜め込んでいた、おーまいがー!! しかも、レックス家は古い。ボロいがデカさだけは並み以上。

 

あ~、皆さん、収納スペースは広くない方がいいですよ、特にモノを溜め込む傾向のある人は。収納できる分だけどんどんしまい込んでしまうので。

「ちょっと狭いかな?!」

 ぐらいがちょうどいいっす。

 

この母の性質をバッチリ受け継いだ昭和人間レックスも、どうも捨てるのが下手。なので、今我が家はいらないものが溢れている。っつーか、おそらく我が家にあるもので本当に必要なものは全量の1/10ぐらいなものだろう。これをこれから捨てていかなくちゃならんと考えるだけで、頭が痛い。

 

ま、それはさておき断舎利。最近はこの言葉を人間関係にも使うらしい。実はレックスも断舎利と言えるのかどうか、ちょっとズルいエクスキューズを使っちまった。

御存じのように、レックスは約4年半、母を在宅介護していた。最初の2年間は仕事をしながら、後の2年半は介護離職して。

 

その間、母は足も悪ければ認知症でもあったので、やはり長時間家に一人で置いておくのははばかられた。そんなわけでレックスの行動はかなり制限されたものだったのだが、実はこれを口実にして、付き合いを断ってしまった知人が数人いたのだ。

 

元々社交的でもなく、どちらかと言えばコミュ障・ヒッキ―体質のアタシ、友人知人の数は決して多くない。っつーか、少ねぇよ(影の声)。だから、人間関係を整理すると言っても友人知人が山ほどいるリア充の方々のように、交通整理並みに右往左往した、わけでは全くないんだけど。

 

人間、若い頃は誰しも友達や知人の数は多ければ多いほどいい! と考える傾向がある(当社比)。で、友達が少なかったり居なかったりすると、すごく不安になったりすると思うんだ。が、年を取ってレックスぐらいになると、ちょっと考え方が変わってくる。いくら人生100年と言ったって、100歳まで自分が生きる保証はないし、普通に考えればもう残っている時間の方が過ぎてしまった時間よりも断然少ないわけよ

 

しかも、時間の過ぎ方が若い頃とは全然違う。誰しも経験があると思うんだけど、子供の頃の夏の日って、一日がものすごく長かったでしょ。永遠に一日が続くと思えたほど。でも今は、1ヶ月ぐらいあっと言う間に過ぎていってしまう。時間の速さが比べものにならない。

 

そうなると、もはや自分に残っている時間は思っている以上に短いことに愕然とする。それに、人間は変わって行くものなんだよね。環境も、状況も、考え方も、そして生き方や性格すらも、同じ人間だからと言ってずっと同じわけじゃない。

 

あの時はすごくその人といるのが楽しくて、有意義だと感じていたけれど、ある日突然違和感が漂っていることに気がつく。どうも一緒に居ても楽しくない、話していても何かかみ合わない、友達と会っているのにどうしてこんなに消耗しなくちゃいけないんだろう・・・・

 

で、思ったのよ。この年になったら、少しぐらい我儘に時間を使いたい。本当に自分が楽しめるもの、自分が有意義だと感じることだけに時間を使いたい、他でもないこの自分のために時間を使いたい、と。

そこでレックスは気乗りしないお誘いを受けた時、こう断ることにした。

「ごめん、母の介護があるから、家を空けられない」

 それは嘘ではないのだけれど、でも人間は「どうしてもこの人に会いたい!!」と思ったら、無理をしてでも時間を作るものなんだよね。姉に頼む、母をショート・スティに預ける、方法は無いわけではなかった。げんに、そうやって時々は会った人もいる。ま、めったに会えないけどね。

 

断っている間に、段々その人たちとは疎遠になって行った。

 

今、レックスは人生の新たなステージにさしかかった、と思う。母の事実上の介護が終わり、これからはこれまでとはまた少し異なった人生のステージが待っている。これからまた、レックスの人間関係は変わって行くのかもしれない。

 

レックスが自分から遠ざかってしまった人間関係、はたして自分のやったことが自分にとって良いことだったのか、それとも悪いことだったのか、それは正直なところ分からない。後悔はしていないけれど、正しいことをした、という思いもないし。

ただ、これからも自分は変わり続けるし、自分の状況も変わって行くのだろうと思う。その中で自分が選んだことについては責任を持ちたいものだと思っている。

 

それにしても、母の介護を口実にするなんて、アタシも案外ずる賢いな、と思ったりなんかしちゃったよ(母ちゃん、ごめんよ)。



 

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